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大手製造メーカー勤務。普段気になったこと、ビジネスモデル考察、本の感想などについて書いていきます。

なぜコストコはあの低価格を実現できるのか?

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以前別のブログで書いた記事ですが、

僕は日ごろ趣味でビジネスモデルの勉強をしています。

企業のビジネスモデルを分析することでより独立する上で

有効なビジネスを考える為です。

 

 

 

ビジネスモデル分析初回はメジャーなところから「コストコ」についてのお話です。

 

コストコを知っている人が多いと思いますが簡単に説明します。

 

 

(正式社名:Costco Wholesale Corporation)
アメリカ合衆国に本社を置く会員制倉庫型店のチェーン。幅広い品揃えと、専門店としての便利なサービスで、高品質な優良ブランド商品をできる限りの低価格で提供。
会員でなければ店舗に入ることすらできないのが特徴。入荷したままのパレットに乗っている商品を大型の倉庫に並べて販売することにより、管理や陳列にかかるコストなどを徹底的に抑えるコンセプトである。

 

 

となっております。



なぜコストコが安いのかという質問をするとたいていの方は、

上記の通り、「量仕入れ」、「陳列の簡素化」、「倉庫で管理しているから」

「立地が郊外など」などを答えます。

 

確かにそれらも一因であることは間違いないです。

 

しかし、コストコのビジネスモデルを紐解いて行くと別の見方ができます。



コストコは基本的に小売業にあたり、モノを仕入れて、

販売するという「小売モデル」が基本ベースとなっています。

 

しかし、大量仕入れや陳列を簡素化したところで業務スーパードンキホーテなど

似たようなことをしている企業はたくさんあります。

 

違うのは「会員費」があるというのがポイントです。



コストコのビジネスモデルを紐解くには利益構造を見る必要があります。



コストコの売上は約130,000億円(13兆)、営業利益は約4,100億円。

つまり、営業利益率は3.1%です。

 

小売業であればまずまずの営業利益率です。

【参考】15年度イオンの営業利益率は2.0%

イオン | 株主・投資家の皆さまへ | 財務・業績情報 | 業績ハイライト

 

さて、この営業利益の内、小売による利益と会員費の利益は

どの程度の割合なのでしょうか?






実は、約7割は会員費による利益なのです。

 

会員費の売上はそのまま利益になります。

それが年会費として毎年入ってくるわけです。

 

つまり、小売のほうは会員になって頂き、会員費を継続して払ってもらう為の

手段となっているわけです。



この「会員費の継続モデル」がコストコのビジネスモデルのキーとなっています。

そのため、コストコは会員を継続してもらう為に様々なサービスを赤字に

ならないように提供することに専念します。

その結果が、利益にならなくてもよい低価格小売サービスというわけです。

 

極端な話、モノが売れなくとも会員費を払ってもらえばいいわけですから、

毎日買い物に来てもらわなくてもいいので立地なんて土地代の安い郊外で

よいわけです。



この継続モデルは身近なところでは

「携帯電話」や「インターネットのプロバイダ契約」などが該当します。

基本料金に加えて、有料サービスの使用分を追加で支払うという形です。

 

繰り返しになりますが、会員費などは基本料金がそのまま利益になります。

仮に小売で営業利益2%で利益1,000万円を実現しようとすると、

売上は50倍の50,000万円必要になります。

 

つまり、仮に会員費が年間3000円でとして営業利益3%を狙うと、

会員費だけで9万円のものを買ってもらったのと同じことになります。

 

これが会員費の継続モデルの強みです。



逆に弱みとしては、基盤となるサービスやシステムができていないと

顧客がすぐに離れてしまう点です。

また、簡単なサービスやシステムだとすぐに模倣されてしまうため、

参入障壁を作ることも大切です。




以上が個人的に分析したコストコモデル(会員費継続モデル)になります。